リカルド「もう一度人生がやり直せるならと..俺はずっとそう
思い続けていたみたいだな。俺は憧れていたんだ。
友情というものに結ばれた、強い信頼関係というものに。
この命を賭けても惜しくない何かが欲しかったんだ。
多分どこかの草むらで骨になった俺はずっと待っていたんだよ
あんたが現れるのをね..」
リカルドはそう言って微笑んだ。それは、
まるで子供の様に無邪気な笑みだった。
リカルド「思い出してくれ。あんたが始まりだったんだ。
あんたの目的は違ったかも知れないが知らない内に
皆を救っていたんだよ。俺は、あんたに出会えて感謝している
楽しかったぜ。これで言いたい事も言った。思い残す事は
何もない。さあ最後の一仕事といこうじゃないか！」
ダニエル「はぁ〜、オイラ達まんまと騙されていたってわけだね」
ダニエルはそう言って大きく溜め息をついた。
ダニエル「だって、知らないうちにオイラ達死んで
いたなんて、ひどいイカサマだよ..これで
お金もお宝も、ぜんぶパァになっちゃった」
ダニエルは懐からサイコロを取り出して宙に放り投げた。
ダニエルは神妙な顔つきで落ちてきたサイコロをつかみ、
ゆっくりと手を広げて見せた。
ダニエル「ワォ！見て見て！オイラまだついている！」
サイコロの目は１だった
ダニエル「どうやらミーシャのやつまだ生きているみたいだ。
へへ、よかったよかった。」
ダニエルは嬉しそうに微笑み、そのサイコロを
大切そうに懐にしまいこんだ。
ダニエル「ミーシャってオイラの友達のネコさ。最近
見かけなかったから、てっきりあいつも死んじまったのかって
心配してたんだけど、これで思い残す事はないや。
さあそろそろ、イカサマ神様をぶちのめしに行こうよ！
ドゥーハンの皆の貸しをたっぷりと取り立ててやらなきゃね」
ミシェル「今、初めてわかる。私達がどんなに大切な日々を
過ごしていたのかを..心温まる楽しかった日々、
決してかなう事のない夢や、辛かった事でさえ、
もう二度と取り戻す事は出来ない..おかしな物ですね。
その時は感謝の思いもなにも感じなかったのに
今はどの思い出も光り輝いて見えるのだから。
行きましょう、私達から全てを奪い去ったあの忌わしき者に
人々の思い出の代価を支払ってもらわなければ」
クルガン「そう言えば俺はまだお前にあやまっていなかったな」
クルガンはそう言うと静かに瞳を閉じた。
クルガン「俺があの時、お前を信じていれば、この悲劇は
起きてはいなかったのだろうか？俺があの時、真実を
知っていれば、この悲劇は..フッ、らしくないな。
後悔ばかりが浮かんで来る。過去が変えられないのなら
変えるべきは、未来だ。そのために俺の命はある。
お前にあやまるのは..全てが終わった後だ。
紛つ神を倒し、全ての魂を解放した時こそ、
俺はお前に友としてわびよう。」
クルガンは、照れたようにニヤリと笑った。
クルガン「だから（主人公）。俺にわびを入れさせ
たかったら、その手に勝利をつかめよ。
さあ、クイーンガード最後の戦いだ。歴代の女王陛下、
それに歴代クイーンガードの英霊よ。どうか御照覧あれ！！
最後のクイーンガードクルガンと（主人公）の戦いを..！！
クイーンガードの名の下に必ずや
オティーリエ陛下の魂をお救いします！」
異空の最深部。闇に向かって、レドゥア（女王付の司祭）
とホムンクルス（女王の体のコピー）が立っていた。
レドゥア「今こそ、我が望みがかなう時！贄となった
陛下の魂をこのホムンクルスの身体に移す！」
ホムンクルスの人ならざる顔が歪んだ。
ホムンクルス「魂を移す？女王の魂を使って、この
わたくしを人にするのではないのですか？魂を
移されたらわたくしは..わたくしはどうなるのです？」
レドゥアは答えない。
ホムンクルス「あなたは、わたくしを愛しいと、何者にも
代えられないと、そう言ったではありませんか！
ここに来たのは..わたくしが完全なる人になるためだと..」
レドゥア「その言葉に偽りはない。オティーリエ女王は
肉体を取り戻し、完全なる人となるのだ」
ホムンクルス「い、いや..わたくしは..わたくしは..」
レドゥア「そなたの役割はオティーリエ女王の美しい
身体を保ち続ける事。その役割は、今終わるのだ」
ホムンクルス「レドゥア！」
レドゥア「呼ぶな！その声は、オティーリエ女王の物。
そう呼んで良いのはオティーリエだけだ」
ホムンクルスは、人形の様にぎこちなく膝を折った。
レドゥアは、もはやホムンクルスにもこちらにも
興味はないとばかりに異空をにらみつける。
レドゥア「さぁ、狂える司教が生み出した神よ。我が手に
オティーリエを返してもらうぞ！」
ゆっくりと闇が辺りを満たした...
”それはかなわぬ 愚かなる者よ”
死の国を渡る風の様な声が響きわたった。
”あの者は、神たる我への捧げ物。我と同化し我の核となる者
我を彩る、魂の一片..再び世に出る事かなわぬ者”
レドゥア「戯れ言を！」
笑うかの様に、闇が揺れる。
”戯れ言ではない、我とあの者は永遠にひとつ
永き時を共にうつろう定め”
その言葉は、レドゥアの怒りを爆発させた。
レドゥア「お前が、永遠にオティーリエと共にあるなど
許しはせぬ！」 再び、闇がゆれた。
そして、ゆっくりとひとつの形を取ってゆく。
想いの波のただ中で見たかの神の姿が、そこにはあった。
”何故、そうもこの魂を求める”
ちらりと神の目がホムンクルスを見る。
”そうか、その姿があるからか。魂無き肉体は滅びるが
定め..我がその定めを導こう。その姿がなくなれば
お前もあきらめる事が出来よう..」
ホムンクルス「アァァァァッ！」
たった一言で導かれた魔力によりホムンクルスは炎に包まれる
ホムンクルス「レドゥ...ア」
レドゥアの声にならない叫びが上がる。
レドゥア「おぉ、オティーリエの身体が！
オティーリエの美しい身体が...！！」
炎に包まれたホムンクルスはゆっくりとレドゥアに抱きついた
（主人公）が止める間もなくレドゥアは炎に包まれた。
炎は二人の身体を焼きつくし、消える。レドゥアと
ホムンクルス、二人の灰が異空へ散っていった。
”愚かなる者よ。汝の魂は、今、我とひとつになった
これで、汝も永き時を共にありつづける事が出来る
我が力によりてこの地の魂は永遠不変..
我が力と共にあるかぎり..魂が消滅する事は二度と無い
魂は、我と同化し、永遠にただあり続ける
未来永劫、このままあり続ける..魂の不変、神との同化..
それが我を生みし者の願い。我はそのために呼び出されし者”
神は、残った一行にゆっくりと語りかけた。
”残りし者よ、選ぶが良い。我と共に不変の世界に
あり続けるか..真の消滅をその身に受けるかを！！”
（武神とのラストバトル！）
神が消滅した瞬間、異空に異変が生じた。
目をさますとそこはドゥーハンを見下ろす小高い丘の上
だった。街を白く閉ざしていた雪がやんでいる。
ドゥーハンは神の束縛から解き放たれたのだ。
しかし、むなしさが心身を打ちのめす..
そんな自分をあざ笑うかのように美しい光がまたたいた
それは魂の回帰（街から幾つもの光が空へ舞う）
輝きの中に、求める魂があるかもしれないとそっと
指をのばす。その指先に、奇跡の様に尊い姿が現れた
（オティーリエ女王が笑顔で浮かぶ）
命をかけて護ろうと思い 結果、殺めてしまった人
女王「感謝しています。わたくしのガードよ。あなたは
わたくしをかの神から解き放ってくれた。わたくしの尊厳を
護ってくれたのです。だから..涙を流さないで」
（オティーリエの輝く魂が上空へ舞う）
青空が広がり優しいこもれびが大地をあたため始めた
引きよせられるように空に目をやる
（閃光時、自分を守って死んだ恋人ソフィアが浮かぶ）
ソフィア「わたしといっしょにこの美しい
ドゥーハンの空をうつしましょう」
ソフィアと見るはずだった美しい青空。
彼女の歌声が 空の彼方から 聞こえたような気がした
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