日本フェザー級チャンピオン千堂と一歩がリングで闘っている。
千堂のパンチが一歩の顔面にヒット。
〜千堂の回想 消防員だった父の遺体を見つめる少年時代〜
祖母(強うなれ。父親の様な人を守れる男になれ)
泣きながら祖母の前に少年千堂「守られへんかった。わい、くやしいよ」
バットでいじめっ子を襲う千堂、そのまま高校でケンカする千堂
千堂「退屈や..強い奴はおらんのか」(回想終了)
千堂(言われた通り、ワイは強うなった。せやけどワイは分かって無かった
強いっちゅう意味が!この男を倒せば答えが出る!)
千堂の攻撃をかわし、反撃する一歩
〜一歩の回想 いじめられっこだった一歩〜
母「どうしたのそんなにケガして」笑ってる一歩。
鷹村に泣いて頼む一歩「僕も強くなりたい!生まれ変わりたいんです!
強いって..どんな気持ちですか?」(回想終わる)
一歩(あれから色んな人と闘った。毎日練習してこんな僕でも自信が付いてきた。
それでも分からなかった!強いって何だか!)
千堂(勝って) 一歩(答えを出すんだ!)
〜Round75 「さらなる、一歩を」〜
アナウンサー「第6ラウンド終了ー!死闘を繰り広げてきた両者、さすがに
足取りが重い!もはや精神力だけの闘いとなって来ました」(客が驚く)
アナ「おおっとこれは?両者座らない!インターバルで腰をおろしません」
梅沢「何だよ、もう座ったらもう立てない程疲れてんのかよ」
猫田「それもあるだニ」梅沢「あ?」猫田「だが、休んで気力に穴が空くのを
嫌ったんだニ。それほど2人共はりつめた顔をしとるだニ」
千堂(何じゃ幕之内、えらい思いつめた顔をしよって。
貴様もワイと同じ事考えとるんかい)
一歩(もうがまともに動けるのは何分も無い。次のラウンドで勝負!
きっと、千堂さんも同じ事を考えてるはずだ!)
千堂(お互い細かい事はもうでけへん。)
一歩(単発のパンチじゃ千堂さんの意識を刈り取れない!)
千堂(得意のパンチで勝負!スマッシュや!)
一歩(僕にはこれしかない、デンプシーロールだ!)ゴングが鳴る。
アナウンサー「さあ、両者がコーナーを出る!
この死闘はどこまで続くのか?第7ラウンドの開始だ!」
〜リング外のセコンド陣〜
鴨川会長(一歩側)「何も言えなんだ」八木マネージャー「会長」会長「このラウンドで
最後にするという覚悟の顔じゃった。勝って帰って来る事を信じている。じゃが..ん?」
アナウンサー「おおっと!これは?クロスアームブロック!」
藤井記者「あの千堂が守りだと?」
飯村記者「信じられません!あの誇り高いチャンピオンが。少なくとも..
少なくとも幕之内君と打ち合っている時間は彼にとって至福の時のハズ。」
ジム仲間の青木「左右だ!一歩」木村「千堂は打ってこねーぞ!」
鷹村「違うな、ためてんだ。ジャブ打つ力すらためて一撃の内にのどぶえを
かっ切る!その一発を溜めてんのよ。いよいよ最後の勝負に出やがった!」
〜リングでの死闘〜
一歩(間違いない、狙ってる!) 千堂(まだや、待つんや。)
一歩(でも、僕には) 千堂(幕之内もフィニッシュブローで来る!)
一歩(僕にはこれしか無い!) 千堂(最後は必ず..)体を振出す一歩
アナ「これは〜?デンプシーロールだ!先に仕掛けたのは挑戦者!」
一歩「行けえ!」だが千堂は体を乗り出し止める。アナ「止めたあ!」
鴨川会「悔いが残る!結局ワシには思い付かなんだ!
千堂武士を後退させる術を!デンプシーロールの完成形を!」
千堂(これを待っとったんや〜!)一歩に攻撃。アナ「スマッシュー!これは?
挑戦者の左も王者の腹に突き刺さっている!(千堂の腹の骨が折れる)」
鴨川会長「あやつ!」 飯村記者「止められるのを承知だったんだわ!」
藤井記者「幕之内もスマッシュを予測していた!」
一歩の攻撃。アナ「右〜!これは効いたか?」
一歩(ここだ!もう後が無い。これが最後のチャンスだ!..目が..生きてる!)
千堂(左を読んだかて、ええ気になんな!まだ右が、右が残っとるわ!)
ギリギリでかわす一歩。千堂(ま、幕之内イ!)一歩(千堂さん!)
思いきり腹を打つ一歩。千堂の骨がさらに折れる。フェイントを出し
ガゼルパンチでアゴをはねあげ、デンプシーロールを打ち続ける一歩。
打たれながら千堂(強うなるんや、強うなってワイは、ワイは!)
アナ「倒れた!」審判「ニュートラルコーナーへ!」
鴨川会長「や、やりおった!小僧の奴、この土壇場でデンプシーロールの
完成形を見せおった!リバーブロー、ガゼルパンチ、デンプシーロール
持ちうる武器の中でも最大の破壊力を誇るブローの三段攻撃じゃ!」
猫田「ただパンチを3つ重ねただけじゃ無いニ!パンチのつなぎに目の
フェイントさ織り混ぜて。合宿の成果と己の経験を全て出しきった攻撃だニ!」
アナ「カウントが進む!しかしあまりにも絶望的なダメージ!」
客の声「立て千堂!」「しまいにしたらあかん!」
一歩(強いって何だろう..強いって..勝って答えを出すんだ..答えを..あ)
アナ「立った!立ったチャンピオン!ロープに体をあずけて立ち上がった!」
千堂のセコンド、柳岡(もうええ!もう闘える体やない!寝とってええんや!
目つむってええんや)千堂(目は..目はつむらへん。寝とる訳にはいかへんのや)
青木「まだ闘えんのか」木村「マジかよ」
アナ「ファイティングポーズが取れるのか?腕が上がって来た!続行かピリオドか?」
千堂(寝とる訳にはいかへん。前は意識のうなって覚えとらへんのやから。
..あかん!目をあけえ!最後まで見届けるんや!ワいに、ワイに勝った男の顔を!)
審判「8、9、10!(審判に向かって倒れ込む千堂)」
アナ「試合終了ー!!新チャンピオン誕生!死闘を乗り越えて見事日本フェザー級
チャンピオンに君臨!その名は幕之内一歩!19才!」
鴨川会長「小僧!(リングに駆け上がる)」八木「一歩君!」
アナ「新チャンピオン誕生に場内総立ち!日本フェザー級
タイトルマッチ史上に残る、壮絶な闘いでしたー!」
八木「チャンピオンだよ!チャンピオン!」一歩「チャ、チャンピオン?」
青木「やりやがった!」木村「ホントにチャンピオンになりやがったよ!」
鷹村「ふん(笑いながら見る)」
久美「(涙をためてる)ん?どうしたの、お兄ちゃん!」
真柴「もう用はねえ、帰る!」久美「ああ、お兄ちゃん待って!」
真柴(くそったれが!うずく試合やりやがって!すぐにでも体動かさねえと収まらねえよ)
久美(おめでとう、幕之内さん!)微笑んでから去る。
泣きながら客席に向かい梅沢「皆さん、有難うございます、有難うございます!」
猫田(おめでとう、幕之内。感動させてもらっただニ。年取ると涙もろくなって
かなわんだニ。お前も喜ぶだニよ..ん?)隣にいた犬(ハチ)がいない
八木「良くやったよ!君がチャンピオンだよ!」
一歩「僕が..チャンピオン?」 八木「そうだよ!見事なKOだったよ!」
一歩「チャンピオン..」鴨川会長「実感わかんか。ならば振り返って見るがええ」
千堂、柳岡にかかえられながら来る。一歩「千堂..さん」千堂「何やそのツラは。
もっと景気よう胸はらんかい!この千堂武に勝ったんや、貴様が日本一や。」
一歩「僕は全力を尽くしました。千堂さんが相手だから全力を出せました。
千堂さんじゃ無かったら、僕は、僕は..有難うございます!」
千堂「また会おうで、幕之内。リングの上で必ずな!」柳岡「つかまれ、千堂」
千堂「大丈夫や。ん」千堂コールの中、階段を降りていく。
八木「胸をはって降りましたね」会長「最後の最後まであっぱれな男じゃった」
ベルトが一歩にまかれる。
少し拳を見つめてから喜びに拳をかかげて一歩「やったあああ!!」
木村「おお、一歩の奴ベルトを巻いてるぞ!」青木「こりゃ乱入するしかねえぜ!
(犬が通り過ぎていく)..何だあ?」カメラマンに囲まれている一歩
カメラマン「新チャンピオンこっち向いて下さい」「ポーズお願いします!」
一歩「ポーズ?」会長「記念じゃ、撮ってもらえ」一歩「ハイ、こうですか?」
写真。ファイティングポーズをとった一歩の隣に犬(ハチ)が写る。
〜CM後、控え室〜
会長「ああ、もういい加減にしてくれ!疲れとるのが分からんのか!」
記者達「ええ?まだ色々と」木村「あれだけの打撃戦だったもんで」
青木「後日時間取るっつー事で」扉を閉める。
会長「そんなボロボロじゃ祝勝会どころじゃ無いな。とにかく今日は帰って休め」
一歩「はい、それじゃあ、会長、八木さん、篠田さん、今日は有難うございました」
会長「うむ..ああ、それから、2、3日したら精密検査を受けるんじゃぞ」
一歩「はい、分かりました。それじゃあ..」去る。会長「そ、それと..」
扉から顔を出す一歩「あ、はい?」会長「ゴホ..よく..頑張ったな!」
一歩、壁に頭を当ててからおじぎする。「有難うございました!!」
〜後楽園ホールの外〜
飯村記者「困りましたね、あれほどの試合はどれだけ言葉を飾っても伝える自信無い
ですよ」藤井記者「見たまんま書きゃ良いのさ。それより千堂の事気にならないのか」
飯村「え?」藤井「同じ相手に二度負ける。あいつのカリスマ性、それに本人の
プライドが大きく傷付いたからな」飯村「引退も有る..と?」
藤井「あれほどの才能をこれで終わらすのは心が痛むな」飯村「ええ」
〜千堂、新幹線の車両の間にいる〜
柳岡「どないしたんや」千堂「ああ、ションベン行こうと思ったんやけど
隣の車両、応援団乗っとんのや。ワイはあれでも一生懸命やって負けた。気持ちは
サッパリしとるよ。せやけど、約束は守られへんかった。皆押し黙ってしもて
どの面さげて会うたらええんや」 柳岡「とにかく、席戻ろや」自動ドアを踏む
千堂「おあっ!?」ドアが開く。 応援団「千堂や」「ロッキーや」
千堂「み、皆..わ、ワイは..」応援団「何も恥ずかしい事あらへん!」
「そうや!今までで一番の試合やったで」「わいら落ち込んで黙ってた訳やあらへん」
「感動してしゃべられへんかったんや」「わいらも胸張って帰るわ!」
「この先もロッキーに付いてくで!」千堂「皆、おおきに、おおきに!
又1から出直しや、しゃあけど、必ずはいあがったる!必ず!」
応援団「そうや!それでこそわいらのロッキーや!」「頼むで!」
〜千堂の家 祖母がいる〜
千堂「疲れたわ。今日はもう寝る」祖母「うん」千堂「ばあちゃんな、ワイ、
まだ弱かったわ」(部屋へ行く)祖母、写真を見て
(あんたらの子は、1つ強うなって帰って来たよ)
〜一歩の家 枕元にベルトを置いて寝ている〜
一歩の母「おめでとう、一歩」ふすまを閉める母。
〜三日後 祝勝会に向かって町を歩く一歩〜
一歩「ん、ちょっと早いかなあ。ま、遅れるより良いか。あ、会長!」
会長「小僧!..千堂は5ラウンド半ばのリバーブローでろっ骨が2本折れておったそうじゃ」
一歩「ろっ骨を?そんな素振り全然」会長「ビデオだと5ラウンド以降微妙に反応が
遅れておった。あれが無ければ今このような気分で歩いているのは、逆になって
いたかもしれんな。敵ながらあっぱれと言う他あるまい」一歩「はい」
会長「覚えとるか小僧、5ラウンド終了の休憩でお前がワシに言った事を。
そして見つかったか、強いとは何か」一歩「あの時、千堂さんと闘っていた時
確かに何かつかめそうだったんだですけど、何も見つかって無いんです。
だから、これからも御指導、よろしくお願いします!」
スナックから鷹村が出て「おい、何やってる!もう始まっちゃってるぞ!」
一歩「あっ、はい!」去る。会長(小僧の求めている物は形有る物ではない。
そpれはまるで雲をつかむがごとく..)スナック入り口ではしゃぐ木村と青木
一歩「あ、もうできあがっちゃってるんですか?」久美「おめでとうございます
幕之内さん!」一歩「く、久美さん!」
会長(あやつはどんなベルトを手に入れるより困難な道を選んだのかもしれん。
願わくば、この老いぼれの目の黒い内につかませたいものじゃ)
一歩と久美をチャカす木村達。怒る一歩をなだめ中に入れる青木。笑顔の一歩で終。
〜エンディング(テーマ曲はモリナオヤの360°)〜
スナック。盛り上がる仲間達、一歩だけ久美と話してる
一歩のサインをもらって喜ぶ久美。またしても青木と木村がチャカしている
ベルトを付けた一歩が照れながら挨拶。
猫田さんからハチ(犬)の子をもらう一歩。
子犬を抱き締める一歩、しかしベルトにウンチをされて投げ出す。
ベルトをふく一歩。ウンコチャンピオンとちゃかす鷹村、木村、青木。
改まってカラオケを。「チャンピオン」を選曲。
図に乗るなー!と仲間から物を投げられる。物を投げられながらも笑顔の一歩。
数日後、ボクシングジム。鷹村達がジョギングに出る。
一歩、くつ紐を結ぶ。外へ走り出す。最後にグローブが写って
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