シャヘル「..神よ、貴方はまた、私をお見捨てになるのか..我が声はもう届かぬのか?
あの忌わしきオウガバトルの時も、私は御身の為に、
何ものをも惜しむ事無く戦い続けたというのに..!!」
アルフォンス「黒き存在となったお前に、帰る場所などない。神の愛、届かぬ
闇の住人にとって死とは無。お前はもう、天界に戻る事は出来ない。
お前の道は二つに一つ。神の創ったあの宮殿の中で永遠に生きるか。完全なる消滅か。」
シャヘル「また、あの冷たき暗闇へ還る位なら..いっそ世界ごと..!」
---シビュラ登場----
シビュラ「神に近き存在と言いながら闇を恐れるか、哀れだな」
アルフォンス「シビュラ..!大丈夫なのか!?」
シビュラ「良かった..。二人共無事の様だな。堕天使シャヘルよ。お前の心、見せてもらった
いい加減認めたらどうだ?お前は、神を愛している。今も変わる事無く、
狂おしいほどに、その光輝く存在に焦がれている。」
シャヘル「..神は人間を愛していた。神は自分を見ていなかった。そして神は私に、
人間の為に戦い、人間の為に死ねと仰った。なぜ?私はこんなにも貴方を愛していると
いうのに..貴方は私を愛しているというのに..貴方は私を愛して下さらない?」
シビュラ「お前は、人間が憎いのでは無い。
神に振り向いて欲いだけだ。堕天の罪を負い、
この地へ封印されてもなお、神に救いを求め続けた。ただ、それだけだ。
堕天したお前は神の敵となる。だから、神はお前が完全に堕天する前に封印した。
それが神がお前に出来た唯一の事だったのだ。神の愛は全てに等しく無償。
愚かなるは、神の真意に気付かず、神を疑ったお前自身。」
シャヘルの身体から割れるような光が発する。
シャヘル「だまれぇッ..!お前の言葉になど惑わぬ!私にとって神が唯一のもので有るように
神もそうあらねば意味をなさぬ!...ああ!全てがうつろいでゆく..
これが..完全なる死?この私が?私が無くなってしまう..何という事!!
これが..永遠の無?...許さぬ..すべてを道連れに...」
さらに割れるような光が走る。シビュラがシャヘルに近付く。
エレノア「我が命に代えて、アルフォンスを連れて行かせぬッ!!」
アルフォンス「シビュラ、やめろッ!これ以上無理をするな!!」
シビュラ、一回アルフォンスを振り返り、またシャヘルの方を向く。
シビュラ「フッ..アルフォンスよ。自らの心のままに行動する事。
それを教えてくれたのはお前だ。そのお前に命をかけるのも悪くは無い。
そう思っただけだ。確かに、ここまで来るのにずいぶん力を使ってしまったが、
私を甘く見てもらっては困る。堕天使一人、道連れにする事など造作もないッ!」
アルフォンス「ダメだッ!いくなああぁぁ!!」
エレノア「さあ..哀れなる堕天使よ。私と共に消えようではないか。神と対等な関係を
望んだ時点でお前は間違っていたのだ。叶わぬ思いと諦めよ。
それに..二人なら寂しくもあるまい?」
2人の体が宙に舞い、光になって天空へ登っていく。
”アルフォンスよ。妹を、エレノアを頼んだぞ...”
〜オストレア城〜
レクトール「..すまないな。何もかも、任せてしまって。オレはひとまず
フェーリスに戻る。父上がこの島に上陸する為に部隊を調えているというのだ。
何を考えているのかは知らなぬが、父上に、出兵を止めるよう話をつけてくるよ。
それ以外にもあの人とは一度きちんと話をする必要も有るだろう」
アルフォンス「分かった。気を付けて。」
レクトール「心配するな。すぐに戻ってくるさ。」(お供と去る)
〜城内の会議室〜
イナンナ「助かります。皆が落ち着きを取り戻しつつ有るのも、貴方のお陰です
私はこれから、このラーヌンクルス..いいえ、この島に生きる全ての命有る者を
守っていくつもりです。アルフォンス、あなたはどうするのですか?」
アルフォンス「時間は有る。あせるつもりは無いよ。
ここでやる事が片付いてから、ゆっくりと考えるさ」
〜エレノアの家(ベットにエレノア、誰かが来る)〜
神官見習いの少年「来ましたよ」2人で外に出る。
アルフォンス「エレ、準備は出来たかい?」エレノア「うん」
アルフォンス「すまない、行き先も告げずに」
神官見習い「いいえ、我々はあなた達によって救われました。
どうかこれからはご自分の為に生きて下さい。」
エレノア「ハーウェン様に伝えていただけますか?
エレノアが今まで有難うございましたと言っていたと..」
神官見習いの少年「分かりました。アルフィオンスさんエレノアさんどうかお気を付けて」
”行こう、エレ。”
〜人魚の聖域〜
長老クロウリィの後ろに天から金色の人魚、ベイレヴラ出現。
”クロウリィ...”クロウリィ「お姉さま、お帰りなさいませ...」
”行きましょう、クロウリィ。後は若い者に託しましょう。
未来は若者の手に..全ては続いてゆくのですから..”2人共魂になって天へ登っていく。
〜スタッフロール〜
〜ヴァレリア島、オストレア城王座〜
騎士「..途絶えていた他国との交易もようやく回復しつつあります。
これで島の財政も以前と同じ状態に戻るでしょう。」
レクトール「父上には何とか納得してもらったよ。後は神都の老人達がこの島の自治権を
承認してくれるか..だな。ま、確率は五分五分といった所だろう。」
イナンナ「本当に感謝しています。あなたのお陰でこれ以上島に血を流す事は無くなりました」
レクトール「..イナンナ、オレと一緒にこの国を守っていかないか?」
イナンナ「もちろんそのつもりです。改まってそのようなお話..どうかなさいましたか?」
レクトール「おそらく、勘違いをしているようだ。領主と騎士としてでは無いよ。
もう、貴女は剣を持つ必要は無い。貴女にはオレの隣にいてもらいたい。
いや、この島に生きる全ての人々を見守りながら、共に未来をつむいでいこう。」
イナンナ「はい」
〜ビリュテの町、墓の前〜
ユフィール「(母さん、この町も本当の平和になりました)」
エルリック「...。」ユフィール振り向き、「父さん...!」
(ユフィールがいない時はエルリックがゴーレムを作り「うーむ..また失敗か」となります)
〜ラーナ海域(人魚の聖域)〜
マーメイドの少女「長よ、あまり外に出ては危険です、いつ、どこに人間が
現れるかも知れません。この場の警備は私に任せて聖域にお戻り下さい。」
アエリアル「何を言うか、長である私には、お前達を守る義務が有る。
ふふ..それに少なくともお前より頼りになると思うぞ。」
マーメイドの少女「アエリアル様..」
アエリアル「私は知った、人間の中にも信じられる者はいる。信じる、信じないは
種族の違いによるものでは無い。個人と個人との関係だ。我らマーメイドと人間が
歩み寄る方法は必ず有る。疑うばかりでは何も生まれぬ。...時間はかかるだろう。
しかし今後は人間達とも話し合っていくつもりだ。」
「風が..出てきたな。また、嵐の季節が来る。」
(アエリアルがいない時は風が吹く中、マーメイドの少女が無言で空を見上げます)
〜どこかの山、アルフォンスとエレノア〜
アルフォンス「だいぶ遠くまで来たな。ここは、どこなんだろう。」
エレノア「アルフォンスが一緒ならどこだっていいよ。」
アルフォンス「さあ、日が落ちるまでに、あの山を超えよう」去る。
”ゼテギネア暦232年にオウィス島で起こった内乱について、
ローディス教国の正史には、わずかに記録されているのみである。”
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