銀河鉄道999(TV1話)
宇宙、銀河鉄道333が地球に向かっている。「こちら銀河急行333、
メガロポリス中央ステーションに入る減速18%重力ブレーキ作動10秒前」

”西暦2228年、地球の宇宙交通機関は飛躍的な発達を遂げていた
宇宙鉄道網は宇宙の果てまで広がり、宇宙列車は毎日の様に
地球と惑星の間を往復していた。”

第1話「出発(たびだち)のバラード」

”その頃、地球には超近代都市「メガロポリス」が出現し
温度調整された中で人々は暑さ寒さを知らない快適な暮らしをしていた
しかも彼らは機械の部品さえ交換すれば、千年はおろか二千年も
生き続ける体を持っていた。しかしその「メガロポリス」に住めるのは
機械の体を買える金持ちだけで、機械の体を買えない貧しい人々は
メガロポリスから追い立てられ、悲惨な暮らしを送っていた。

そんなある日、貧しい人々の間でこんな噂が流れだした。すなわち
「この宇宙にタダで機械人間になれる星がある、その星へ行くには
銀河超特急999に乗れば良い」と。かくして貧しい人々は
銀河超特急の出発駅の有るメガロポリスの近くへと集まって来た
そしてここにもメガロポリスへ向かう1組の母と子がいた”

雪山。鉄郎「あ..見て母さん。山の向こうのメガロポリスに
銀河超特急がついたよ、さあ母さん、もう一息だよ!」
母「でも鉄郎、メガロポリスについてもすぐ乗れる訳じゃ無いのよ」
「分かってるよ、それ位。999に乗るにはいっぱいお金を出して
パスを買わなきゃいけないんだろ?」「ええ、お前のお父さんは
そのお金をかせごうと、無理して働いたために..(泣く母)」
「母さん、元気だせよ!僕が父さんの代わりにバリバリ働いて
パス買うお金をかせいでみせるから」「鉄郎..そうね、
クヨクヨなんかしてられないわね。母さんも一生懸命働くわ」
「そうだよ、その意気さ!」「鉄郎(抱き締める)」

母「..鉄郎、静かにして」鉄郎「どうかしたの?」
「だまって..!(馬の足音が聞こえる)鉄郎、逃げるのよ!人間狩りよ
機械人間の中には私達貧しい人間を殺して楽しんでいる者がいるのよ」
「何だって!?」逃げる母と子、追う機械伯爵。

鉄郎がころび母が助けて再び逃げるが機械伯爵が狙いを付け、母を撃つ!
母「ああ!..」鉄郎「!母さん、しっかり!僕につかまるんだ!..
母さん!」「鉄郎..母さんはもう駄目よ..お前1人だけで行って..」
「何言ってんだ!2人で999に乗って機械の体をもらえる星へ行く
約束だろ!さあしっかり!僕がおぶってでも連れて行くから!」
「鉄郎、聞き分けの無い事を言わないで..お前には父さんや母さんの分まで
長生きして欲しいのよ..父さんや..母さんの分まで..」「母さぁん(泣く)」
懐からネックレスを出す母「これを..母さんの代わりに..」「母さん!」
「鉄郎!もうお別れよ..鉄郎..(息たえる)」「母さーーーーん!!」
機械伯爵達が来るのを見て「さよなら..母さん」と隠れる鉄郎。

機械人間「見つけたぞ!ここです」機械伯爵「ふむ..死んでるのか」「ハ」
「フーム..これは綺麗な人間だ。はく製にするのに丁度いい。持って帰ろう」
部下「子供が見当りませんがどういたしましょう」
伯爵「放っとけ!どうせこの雪だ。じきに凍え死ぬだろう、フフフ」
去る伯爵達。形見を握る鉄郎「ちきしょう覚えてろ、
今に必ず母さんの仇を討ってやる!必ず!」

1人で雪の中を歩く鉄郎「何てひどい雪だ..息も出来ない。手も足も
かじかんでもう動けない..だんだん眠くなって来た..ごめんよ母さん..
機械なら動けるのに、人間って不便だね..今度生まれて来る時は
はじめっから機械の体に..生まれて..くる..僕は..」雪に埋もれる鉄郎

小屋の中、布団で目覚める鉄郎「ここは..?」女性が暖炉から立ち上がる。
「気が付いた?鉄郎」「どうして僕の名前を?君は誰だ?」
「私の名前は、メーテル。」「メーテル?」
「あなた半分氷りついてたのよ?」「じゃ君が助けてくれたのか?」
「ええ..さ、お飲みなさい(スープを渡す)」飲み出す鉄郎。
メーテル「あなた、メガロポリスとは反対の方向に歩いてたのよ?
探すのに手間取ったわ」「?どうして僕が駅に行く事が分かったんだ?」
何も言わず機械の近くへ行く「この集音機を回していたら、偶然
あなたとお母さんの会話が入ったの」「僕と..母さん..」
メ「お母さん、本当にお気の毒な事をしたわね..」皿を落とす鉄郎。
鉄「なぐさめてくれなくったって良いよ!それよりメガロポリスへ
行く道を教えてくれよ!死んだ気になって働くんだ..そしてお金をためて
今に必ず999に乗ってやる!さあ、早く道を教えてくれったら!」
メ「999のパスなら、私があげてもいいわ」「え..パス?」
「そう、パスよ。無限期間有効の銀河鉄道のパスよ」
パスを持ち「本当に僕にくれんのかい?」と鉄郎。
「ええ、ただし条件が1つあるわ」「え?条件?」
「私も一緒に連れてって欲しいの」「何だそんな事か、お安いご用さ
これさえ有れば僕は999に乗れるんだ!そして機械の体を手に入れるんだ」

偶然集音機から笑い声が入る。メーテル「機械伯爵達が祝宴をあげてるわ」
鉄郎「機械伯爵?」「あなたのお母さんを殺した連中よ」
「え?この近くに住んでいるのか?」「あの森の向こうよ」
壁に有る銃を取る鉄郎。メ「鉄郎?何をするつもりなの!?」
鉄「お母さんの仇を討ってやる!」メ「そんな無茶よ!機械人間全部を
敵に回す事になるわ!」鉄「駅へ行く前に機械伯爵の家へ行く!
それが君を連れてく条件だ!」小屋から去る鉄郎。メ「鉄郎..」

機械伯爵の家。部下「それにしても伯爵、今夜の獲物は素晴らしいですな」
伯爵「ウム。あとで丁寧に皮をはいではく製にしてやろう。フハハ」
鉄郎が扉を開けて入ってくる!「そうはさせないぞ!」
伯爵「何だお前は」鉄「よくも..よくも母さんを殺したな!死ね!」
銃を撃ちまくり全員を一瞬に倒す。
伯爵「ま、待ってくれ..脳だけは撃たんでくれ。体はどうなってもいい
脳だけはやめてくれ。さもないと修理が..本当に死んでしまう」
鉄郎「この!」銃身で伯爵の頭を砕きランプを投げて家を燃やす。
鉄(さよなら、母さん)サイレンが聞こえる。「機械ポリスだ!」

逃げる鉄郎を追うポリス「止まれ!止まらんと撃つぞ!」
小崖から滑り落ちるが機械犬が追って来る。必死で戦うが押え込まれる
メーテルがそりでやって来る!「鉄郎!(ムチで犬を叩き)早く乗って」
そりで逃げる2人。メ「これであなたは国中に手配されたわ!」
鉄「じゃ、メガロポリスの町に警察の手が?」「多分ね」
「999はいつ発車するんだい?」「今夜の0時ちょうどよ」
鉄「今夜?」メ「もし乗りそこなったら次の999まで1年は
待たなければならないわ。とにかくやれるだけやってみましょう
それしか無いわ!」雪道を消える2人のそり

メガロポリス、警察が巡回している。ホテルにいる2人
メーテル「時間が来るまでこのホテルに隠れていましょう
その方が安全よ」鉄郎「メガロポリスって素晴らしい町だね。
1度で良いから母さんに住ませてやりたかった..」
メ「出発まであと3時間ね。今の内に少し休んでおいたら?
私はシャワーをあびるわ」去るメーテル。ベットに寝転ぶ鉄郎
形見を見ながら(母さん、あと3時間で出発だよ?)寝てしまう鉄郎

声で目覚める鉄郎。声(メーテルの父)「..その事は充分承知しているだろう
メーテル、お前はあの子に影のように付きまとい決して離れてはいけない事を」
シャワー中のメーテル「分かりました」鉄郎「メーテル、誰と話してるんだ
あの子って僕の事かな?」声「もし言いつけに背けばお前の体は原子分解される
その事を忘れるな」鉄「え?メーテル!!」シャワー室を開けるとメーテル1人
メ「どうしたの、鉄郎?」鉄「あ..ごめん話し声が聞こえたものだから」
メ「嫌ね、私一人よ?鉄郎の空耳じゃ無いの?」「あ..うん」戻る鉄郎

鉄郎「確かに話し声がしたのになぁ..メーテルって一体何者だろう?」
扉を叩く音。「警察だ!開けろ」メーテル「鉄郎、早くしたくして」
扉が開き警官が入ってくる「手をあげろ!ゆっくりとだ!..
ようし、そのまま表へ出ろ!」メ「鉄郎、目をつぶって」
メーテルがイヤリングから光を放ち、警官の目くらましをする!
メ「鉄郎早く!」警官「2人が逃げたぞ」逃げる2人。
メ「こっちよ」透明チューブ道の車に乗る。

鉄郎「ここは?」メ「999に乗ろうと集まって来た人達が
住んでいるスラムよ..皆お金が無くてパスが買えないの」
鉄「そう..(メーテルは何故僕だけにパスをくれたんだ?)」
メーテル「鉄郎!あれがメガロポリスステーションよ!
ねえ鉄郎999には1度乗ったら2度と降りられないという
決まりが有るけどそれでもいい?」
「ああ良いとも!機械の体を手に入れるまでは絶対帰るもんか!」

駅。”銀河超特急999は間も無く出発致します。お乗りの方は
99番ホームへお急ぎ下さい”とアナウンス。
メ「鉄郎早く、今にこの駅にも非常線が張られるわ」
エスカレーターで駅のホームへ。メ「これが噂の999よ」

0時、999が駅から発車する。
鉄「でも驚いたな。999が昔のエスエルそっくりとは知らなかった」
メ「2度と帰らないお客の為にはこんな演出も必要なのよ」
鉄「2度と帰らないって..僕は機械の体をもらって必ず帰るつもり
なんだよ、必ず!」メ「..そうだったわね..」
車窓から見る。鉄「あっ!線路が無い!」メ「これは宇宙列車よ
線路がいるのは駅の構内だけなの」「そうなのかー」
空中へ出る999。鉄「ああ綺麗だなあ!」
メ「明かりのついてるのが皆機械人間が住んでる町よ」
鉄「所々に真っ暗な所があるね」
メ「あれは機械の体を買えない生身の人間の住んでる所..
この景色をよく見ておくことね。今度見る時は
人間の目では見られないかも知れないわ」
鉄郎(母さん..父さん..行ってきます!機械の体をもらえる星へ
母さん達の分まで長生きする為に..)

”鉄郎を乗せた銀河超特急999はその長い無限軌道に乗って
走り始めた。どんな星を訪ね、どんな所へ行って、どんな姿になって
ここへ帰ってくるのか、鉄郎には分からない。銀河鉄道の伸びていく
彼方には、無限の星の輝く海が広がっているだけだ”

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