あしたのジョー2(TV版1話)
ジョー1TVが原作に追い付き、強制終了10年後放映された
「力石戦」直後からの物語りです。まだカーロスが登場していません

「東京・秋」パチンコをするジョー、町をさまよう。
「力石徹が死んだのは、冬だった」
どこかのリング。「それではこれより力石徹選手の死を悼み10カウント
ゴングを行います。恐れ入りますが皆様ご起立をお願いします」
財閥令嬢、白木葉子とその祖父が立ち上がる。
葉子「何をしていらっしゃるの、おじいさま」祖父「いや、ひょっとして
彼が来ているんではないかと思ってな」カウントが始まる。
葉子「彼、来ているはずは無いわ」
ジョーはどこかの橋の上でパンを食べながら力石戦を思っていた。

第1話「そして、帰ってきた...」

パチンコ屋の隅で寝るジョーは力石戦を思う。8ラウンド、
ジョーが敗れる。力石「終わったな、何もかも..」
丹下「待てジョー、静かに寝てるんだ!」葉子「やったわね
力石君」祖父「ついに宿願を果たしたな」ジョーが近付く
ジョー「まいったぜ力石、あそこでとどめのアッパーで来るとはな
さすが力石だ、まいったぜ」手を出すがその手はすれ違い、力石が倒れる
「過酷な減量と第6ラウンド矢吹が放ったテンプルへの一撃及び
ダウンした際にロープで後頭部を強打した事による脳内出血により
力石選手が死に至ったと診断します」思い出が終わる。

店員「あのよ兄ちゃん、そこでダーっと長くなられてると他のお客が
座れねえんだがねえ」あくびをし、また町をさまようジョー。

泪橋。ジョーのトレーナー丹下は酒びたりの毎日を送っていた。
子供が入って来る。サチ「おっちゃん、拳キチのおっちゃん」
丹下「来てねえよ、何も」「ハガキも?電報も?」「ああ」
「電話も?」「アホ、電話は引いてねえよ!」笑うキノコを
踏むサチ「だってもう半年以上だよ。何か連絡位あったって」
丹下「諦めろい、帰るわきゃねえ。アイツは生まれついての
風来坊だ、流れ者だ。それがリングの上とはいえ人を殺しち
まったんだい、帰って来るワケがねえこんな嫌な思い出が染み付い
てる場所にはお前..」サチ「嘘だー!そんなら何でサンドバッグの
手入れなんかしてるんだー!リングだってきちんとお掃除しちゃって
このジョーの練習用のグローブだってこの間修繕してるのを見たよ
あたいは!拳キチの嘘つき!自分だってジョーが帰って来ると
思ってるくせにー!人に諦めろとは何だい!バカー!」去る子供達
丹下「..ぞりゃ誰だって夢とか希望って奴は持ってみてえもんだ
(泣きながら)ジョー!元気でいるか?」

どこかの町、夜。「ヤクザ同士がケンカをおっぱじめたぞ!」
Aグループ「どうしたの偉い威勢じゃないの、人の島内で」
Bグループ「人の?元はといえばうちの縄張りだったものだい」
A「参ったね、そうかい。どうでも荒れちゃう気かいてめーら」
B「そういう事よ。ちょいとした自信が有ってな。ヘイ兄貴!
出番ですぜ」A「な、何でいこの野郎」
B「兄貴、顔をおがましてやんなよ」サングラスをはずす
B「ヘヘそう、元全日本バンタム新人王、末は世界チャンピオン
とまで騒がれたウルフ金串さんよ!忘れちゃいめえ、あの力石
殺しの矢吹と紙一重の勝負をやったお人だって事ぁよ」
見物人(へえ驚いたね本当にウルフ金串だ)(矢吹との一戦でアゴを
砕いたのが引退の原因だったというが)(ヤクザの用心棒にまで
身を持ち崩しちまったのか)(へー)ジョーも見ている。
Aグループをのすウルフ。B「ヘヘ兄貴、お見事!これで奴ら
当分ここらをチョロチョロしませんぜ」喫茶店に入るヤクザB

ウルフ「俺はよ、あの矢吹との一戦な、もう一度やりさえすりゃ
奴を必ずKO出来た」ヤクザB「そりゃそうっすよ、兄貴なら」
ウルフ「そうすりゃお前、今頃は世界だ。間違い無く世界への
挑戦だ」B「おい姉ちゃんビールもっと!そうっすねーそうなりゃ
あの力石だって矢吹とじゃ無く兄貴と戦いたいと思ったハズっすよ
姉ちゃんビール!5、6本まとめて!」前を向くと怒ったウルフ。
ウルフ「何が力石だ!今は俺の話をしてるんだぜ?」B「そ、そーです
兄貴の話をしてるんです!俺力石なんて言ったかなーおかしいなー」
店員「あのビールお持ちしました」B「アホ!ビールなんか頼んでねえ」
去る店員。近くにジョーが座っている。
ウルフ「石っころさ。俺だって矢吹っていう石っころにつまずきさえ
しなきゃ..運だよな、運。ボクサーって奴はよ、それが糞パンチ
だろうがラッキーパンチだろうがたった一発でそいつの運命が
決まっちまう時が有るんだ」しばらくしてAグループが入って来る
B「でも兄貴覚えてますよ、あの矢吹との一戦!あの壮絶なクロス
カウンターの打ち合い!ありゃてーした物だった」ウルフ「1cmだぜ
1cm!俺があの時もう1cm踏み込んでいりゃあ」B「へえもう..ん?
何だてめーらまた痛え目にあいに来たのか!」

A「そうはいかねえんだ、今度は俺達も強いお人を連れて来たんでね」
B「何?」A「ヘヘお願いしますよ、ゴロマキ権藤さん!」ゴロマキ「あいよ」
ウルフ「ゴロマキとは何だ」ゴロマキ「ゴロマキとはケンカって意味ですよ
ウルフさん」A「つまりケンカの腕を資本に全国各地を渡ってらっしゃる
用心棒のプロフェッショナルよ!」ウルフ「ほー」ゴロマキ「すいませんが
お立ちをウルフさん。このゴロマキ権藤のケンカ殺法がおたくの本格的
ボクシングに通用するか試させてもらえませんか?」「フフフ通用するとでも
思ってるのか?」「さあそいつはやってみないと分からねーんだ」
「いいぜ、じゃあどっからでも来な」ゴロマキのパンチをよけ攻撃!
ゴロマキ「さすが新人王のパンチだって言いてえ所ですが、同じ
バンタムでもあの矢吹の様に力石は殺せねえな、フフフ」ウルフ「野郎」
ウルフのパンチをかわし、アゴをキックするゴロマキ。苦しむウルフ
ゴロマキ「悪いがこれからでね、私のゴロマキ殺法は」殴りまくる。

おびえるウルフにとどめのパンチを出す寸前ジョーが止める。
ジョー「待ちなよ、殺す気かよ、ゴロマキとかいうの。いい加減に
しねえかい。相手はもうとっくにくたばってる」ゴロ「誰だてめえ」
ジョー「誰だっていい。だがこれ以上ウルフに手を出したら俺は
黙っちゃいねえぜ」A「何い?」ゴロ「待て皆手を出すんじゃねえ」
A「でも権藤さん」ゴロ「やめとけ、てめえらが束になったって
勝てる相手じゃねえ」ジョー「おいそこの隅っこでふるえてんの!
何をボケっとしてんだいさっさとウルフを病院に運ばねえと
ウルフの顎は二度とくっつかねえぞ!」B「へ、へい」B達去る

ゴロ「間違ったらごめんなさい、あんた矢吹ジョーだね?..
やっぱりそうだ」A「ええっ矢吹?あの力石殺しの?」
ゴロ「おおっと待った、あんたとはゴロは巻かねえ、とても俺は
勝てねえ、俺は勝ち目のねえゴロは巻かねえ主義だ」
ジョー「何?じゃあウルフには勝ち目が有ると踏んだってのか?
俺もウルフも同じ元ボクサーだぜ」ゴロ「フッ同じ元ボクサーでも
色々有る。奴とあんたじゃ雲泥の差だ。奴の目は腐ってやがった
過去の華やかな思い出を振り返る事しか知らねえつまらねえ目を
してやがった。あの目を見て奴には負けねえってね」
ジョー「気に入らねえな、はっきり勝てる相手を何故あれ程までに
叩きのめす必要が有る?」ゴロ「嫌いでね、ああいうタイプ。
たった一度つまずいてそれっきりってやつ」ジョーが飛びかかる。
倒れるゴロマキ。ジョー「さあもう一言でもウルフの事を言ってみな
間違い無くこの場でぶっ殺してやるからな!」ゴロ「ヘヘ..
てーしたもんだ。ボスサーのパンチってのはこうでなくちゃな..」

去ろうとするがパトカーが入り口に!ゴロがジョーの肩を叩き、
「こっちだ!」と窓から逃がしてくれる。「もう大丈夫でしょう
これからどちらへ?」「別に決まっちゃいねえ」「そうですか
実は商売柄と言っちゃ何ですがわたしぁ試合はよく見るんですよ
ボクシングのね..さてとだいぶ小振りになってきやがった。
じゃ先に行かせてもらいますよ。あんたの試合出来たらまた見てえ
そう思っております」去るゴロマキ。町を歩くジョー。

葉子が車で来る「すみません、止めて、止めて下さい」
祖父「どうしたね葉子」葉子「見たんです今彼を」祖父「彼?
矢吹君をか?」「ええそう、矢吹君。走っていました。力石君が
死んでから地面に泣き伏せそしてそのまま消えてしまった筈の彼を
信じられないけど、飛ぶ様に軽やかに」「人違いでは無いのかね、また」
「また?」「そう、いつかの様に」
ジョー(たまには..寄ってみるか)空パンチをしながら走るジョー。

丹下拳闘クラブ。目覚ましが鳴る。西「ロードワークの時間や..」
静かに2階から降りようとするが落ちる。丹下「!アホ!ドジ!
ハシゴは静かに降りましょうって何度言わせりゃ気が済むんだ!」
西「おっちゃん!ちょっと来てんか!」丹下「ケツの骨でも
折ったんか」「ちゃいます!あれ!あれ!」「?あーー!!」
丹下、西の上に転がり落ちる。何とジョーが1階にいる!
ジョー「よう、元気だったかい、西!おっちゃんよ!」
丹下喜びながら「ジョー!ジョーー!」と駆け寄る。

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