僕は声をはりあげてポチを呼んだ。
雨は非情に降ってくる。
寒い気持ちはポチだっておんなじだ。
ごめん、ポチ。帰ってきて。
涙と雨が混じって口に入る。しょっぱい。
「ポチ...」
その時、僕の視界に茶色の物体が走ってくるのが見えた。
何?泥だらけの手で、顔をこする。
涙があふれてよく見えない。
「ワン、ワン!」
「ポチ?ポチ!」
僕にしがみついてくるポチだった。
また雨と涙で見えなくなってきた。
きっとポチは僕を追いかけてきてくれたんだ。
途中で迷子になりながら。
こいつ、犬のくせに方向おんちだったっけ。
「ポチ、このまま家出しちゃおっか。」
すごい雨になってきた。でも、腕の中にいる暖かさは
その雨の冷たさも消してくれるようだった。
少年は子犬と共に両親に抱き上げられた。
「ごめんなさい..ママ..ポチを捨てないで..」
僕はかすれた声になっていた。
「もういいの。あなたがそこまで大切に想う子を、
どうして捨てたりできるの。」
ママは何で泣いているんだろう。
パパまでどうしてここにいるんだろう。
それから僕は肺炎になりかけたそうだが、
無事回復、ポチは今日も元気だ。
学校にいこう。ポチは幸せそうにしっぽをふって僕を見送る。