そして月日は平穏に過ぎていった。
真実、今、何してる?
時々思い出す。だが、もう戻れないのだ。
あの、幸せな頃には。
「おじいちゃ〜ん。お客様だよ。」
「分かった、今いく..よっこらしょ。」
もう60近い年令だ。階段をおりるのも面倒だ。
「お客さんとはめずらしいな..どちらさま..」
俺はその顔を見てギョっとした。
...真実だ!
「長谷川といいますが..」
「真実だろ?どうしてた!?あれ?若いままだなあ。」
その女性は、コロコロと笑いだした。
「す、すみません。私、長谷川 奈美っていいます。
真実は私の母ですよ。」
そうか。あれから時間がたったんだなあ。
その後ろから、中年のおばさんが顔を出す。
「奈美、そんなに急いでいかないで。..あら...」
俺の胸が高鳴った。今度こそ真実だ。
「奥様は..?」真実が聞いた。
「ああ..5年前に事故で..」
「そうなんですか..私も夫に先立たれてもう10年です。」
それから、俺達は時間を取り戻すかのように話し合った。
真実は俺にどうしても会いたくてここまで足を運んでくれたんだ。
今度こそ言える。
やりなおさないか..?と。
終